部下の転職

2011.12.17

運送業準大手A社のT経理課長は、部下のCさんが転職したいと言いたしたのを聞いて、狼狽を隠せなかった。CさんはT課長より経理に精通しており、実務上はA社の財務会計の中心、年次の決算業務などはT課長と他のスタッフだけではこなしきれないと分かっていたからだ。T課長は何とかA社に残るよう慰留を試みたが、「既に他社からの内定が出ている」というCさんの意志は固いように思われた。T課長のマネージメント経験から言って、一度辞めると言いたした人が翻意する可能性は低い。

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そこでCさんの慰留は続けつつも、人事に連絡して、内々に経理募集の求人を出すことにした。その選考の中で白羽の矢がたったのがKさんだ。二十七歳とまだ若かったが、流通会社でグループ会社二社の経理業務をも含めて任されているだけあって、Cさんの後任としてやっていけるだけのスキルをもっていた。内定を知らされたKさんは大変よろこび、入社の意向を明確にしたので、T課長はホッと胸をなで下ろした。それでもT課長はCさんの慰留をすぐにはやめなかった。「どのみち、Cくんは転職してしまうのだろうし、後任が決まったからといって手の平を返すのは体裁が悪い」と考えたようだ。