まずは雇用創出について考えてみよう。不況によって雇用の場が縮小するから、新しい雇用を創り出そうと考えるのは、至極まっとうな考えであるが、雇用はあくまで生産の派生需要であるということを忘れてはならない。経済活動の必要性から雇用ニーズが生まれるのであって、経済の活性化を経ずに、直接に雇用を創り出そうとすれば、必ずそこには無圧が生じ、予算が非効率に消化され、さらには副作用が出てくる。このようなきわめて単
戦争直後の失業対策事業の教訓... の続きを読む
二〇〇〇年前後の不況のピークに、若干の上積み退職金を手に企業を退職した中高年は多い。彼らの多くが、以前と同じ程度の列車に乗ることは二度とないはずだ。最後に、ある質問をぶつけてみた。もし中途採用目標数が達成できそうにない場合、中高年や派遣・フリーターなどの非正規労働者から正社員採用する予定があるのかどうか。「いや……いまのところ、それは考えていません。もし予定数が確保できなければ、派遣社員で当座はし
年功序列制度の存在しない日本企業の例... の続きを読む
不況下では、現場のマネージャーは雇用調整の実践者になる。たとえばやむなく雇い止めをしなければならなくなった場合に、それを本人に伝えるのはマネージャーの役目である。ここで重要なことは、雇用調整は組織のためには仕方がないことだとは思わないことだ。もっとも危険なことは、企業に対するロイヤリティが、雇用調整の任務遂行というモチベーションになり、とてもつらく厳しいことを言い渡している自分に高揚感を持ってしま
雇用調整の実施者として... の続きを読む
転職の際の面接では、自己都合退職を強調しても、だいたいの事情はわかるものだ。むしろ、何か問題だったのかを率直に認識して、問題を正直に話す方が、採用を検討する側にとっては、好印象だ。落ち込むな、と言うのが難しい状況ではあるが、会社都合での解雇が、それだけで恥ずかしいことだという意識は払拭した方がいい。会社の倒産は、特にその時期について、会社の中にいても案外わからないものだ。私は、ものの見方がどちらか
問題を正直に話す方がよい... の続きを読む
都市銀行という「業態」がある。業態というくらいであるから、一定範囲の、それもかなり狭い範囲の仕事を行なっている。主たる仕事は、預金を集める、融資する、市場で有価証券投資を行なう、決済サービスを提供するというものである。銀行の伝統的な賃金体系は、日本の他の大企業と同様、年功序列型である。年齢が上がれば賃金も上がる。しかしそれでは矛盾が出る。例えば、市場で資金を運用するファンド・マネジャーの中には、他
賃金格差と能力格差はどちらが大きいか... の続きを読む
運送業準大手A社のT経理課長は、部下のCさんが転職したいと言いたしたのを聞いて、狼狽を隠せなかった。CさんはT課長より経理に精通しており、実務上はA社の財務会計の中心、年次の決算業務などはT課長と他のスタッフだけではこなしきれないと分かっていたからだ。T課長は何とかA社に残るよう慰留を試みたが、「既に他社からの内定が出ている」というCさんの意志は固いように思われた。T課長のマネージメント経験から言
部下の転職... の続きを読む
目標未達成分の金額が記入された契約書を示され「署名・捺印せよ」と迫られた職員もいる。こうして「自爆」によって契約した共済掛け金の負担が、年間一〇〇万円にのぼったり、そのうえ購買品(家電製品や衣類、食品など)の「自爆」が加わるケースもある。この「自爆」は、労働者が使用者に対して労働することを約し、これに対して使用者は賃金を支払うことを約すという、雇用の基本的な枠組みが崩壊していることを示している。成
労働の「請負化」... の続きを読む
一九九〇年代後半から関心が高まった日本の格差に関する論議は、過去のデータをもとにしていたためか、正社員・非正社員を問わず雇用と労働条件が激しく劣化して生活が呑み込まれていく人々の実感からは遠いものだった。足元の労働現場と生活は、このころすでに激変していた。NPO「派遣労働ネットワーク」が一九九六年から二、三年おきに実施してきた賃金アンケートの二回目の調査(一九九九年)で、時間給が一九九六年の一七〇
労使の綱引きを通して再編されてきた... の続きを読む
選考試験の結果、自社で活躍する可能性が高いと判断した優秀な学生に対しては、卒業後も数年間有効な複数年入社パスといったものを発行してはどうだろうか。このパスを受け取った学生は、その有効期間中、入社を希望すればいつでも入社することができるというもので、一度別の会社に就職して経験を積んでから入社することも、自分で起業にチャレンジしてから入社することもできる。「後輩にオススメしたいインターンシップランキン
優秀者には複数年入社パスを発行... の続きを読む
年俸制など成果主義賃金を導入するにあたって、最も注意しなければならないのは従業員の納得を得ることです。成果や業績の評価で賃金に格差がつくわけですから、評価の納得性が非常に重要となります。公平公正な評価がなされなかったり、評価の透明性が確保されていない場合には、不満を持った従業員のモラルが下がり、かえって業績が悪化しかねません。役割や業績の評価を公平公正に行なうには、目標面接制度などの評価のための枠
社員の納得できる制度に変える... の続きを読む
高失業率社会である。バブル経済崩壊後、失業率は5%を超えたが、2009年以降はそれ以上の失業率になる可能性が高い。金融危機の傷口具合によるが、失業率は5%を超えて7〜8%前後までいく可能性も否定できない。その理由は大きく二つある。一つは産業構造の転換が進んでいないことである。日本はサービス業中心に徐々に産業構造を転換してきたが、依然として製造業が雇用を含めて成長のエンジンになっている。しかし、その
金融危機の波及効果で失業率はどこまで上がるか... の続きを読む
日本企業の多くは、長時間残業で正社員が劣化していくことに対する危機意識が希薄である。官民問わず、日本の組織は正社員の心の病をあまりに軽く見すぎている。マネジメント層に対する人事評価が定まっていないこともあって、部下を心の病で潰しても平気な顔をしている幹部が多い。予算・権限・人員を与えられた役員クラスは本来、部下の創造性を引き出し、組織の利益を上げたかどうかで評価されるべきなのだが、日本ではそういう
「雇用倒産」「うつ病倒産」する企業とは... の続きを読む